Teoriaは、ギリシア語で「観想、観照」のこと。
 知る喜び 色の楽しみ
 縦糸と横糸が出会い 新たな布が生まれる驚き
京都の小さな文化サロンで、  Teoriaの時間をお楽しみ下さい。

灰の水曜日

今日、灰の水曜日から四旬節が始まります。

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聖ヒルデガルト修道院の回廊


四旬節は復活祭(イースター)前の約40日間。
愛と生命の復活を象徴する春の祭を迎えるまでの、大切な期間です。
四旬節の間、キリスト者は断食、節制を行う習いがあり、その前にご馳走を食べたことが謝肉祭(カーニバル)の起こりとされています。


断食は、古今東西さまざまな宗教にみられる行為で、カトリック教会でも古くから行われて来ました(現在教会がキリスト者に勧める断食は、完全に食事を断つ絶食ではなく、十分な食事をひかえることです)。
宗教とは関係なく、ダイエットや心身の浄化のため、折々にプチ断食、ファスティングなどを実践している方もあるようです。ともすると、飽食、偏食に傾きがちな現代人のライフスタイルの中で、心身を整えるファスティングが注目されるのは、ごく自然なことでしょう。
また、現代では、政治的抗議、社会的示威行動としても、断食は行われます。


今年の灰の水曜日は、ウクライナ情勢をうけて「平和のための特別な断食と祈りの日」と定められました。
一日も早く平和な日々が戻りますよう、共に祈りたいと思います。


さて、
聖ヒルデガルトのすすめる食療法をご紹介します。
【朝】
ディンケルのお粥、ハーブティー
※ディンケルはスペルト小麦のこと。ふつうのお米のお粥に替えてもよいと思います。もし入手可能でしたら、セモリナ(ひき割り)タイプのディンケル粉がお粥には適しています。
※ハーブティーはフェンネルの入ったものがお勧め。フェンネルは、漢方薬でも用いられる茴香ウイキョウのことで、胃をいたわります。
※ハーブティーのかわりにディンケルコーヒーもよいと思います。
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【昼】
豆と野菜のスープ、ハーブティー
※たとえば、大豆と刻んだ季節の野菜を蒸して、フードプロセッサーでピューレにし、水でのばしてディンケル粉(ふつうの小麦粉や片栗粉で代用可)でとろみをつけたポタージュなど。仕上げにヒルデガルトのすすめるスパイス(バートラム、ガランガル、タイム、ナツメグなど)、自然塩で味をととのえます。
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【夜】
りんごのコンポート、ハーブティー
※りんごは、壮健な方は生のままでもOKですが、弱い~普通の方は、焼きりんご、煮りんごにするよう、聖ヒルデガルトは勧めています。薬膳の考え方でも「生ものは身体を冷やす」ため、特に冬場は加熱したものをとるよう勧めていることと通じます。
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そして、
四旬節ファスティング期間中のお勧めの一つは、意外かもしれませんが、
ビール。
ドイツビールのラベルにはよく修道士が登場しています。
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そもそも修道院で四旬節中の栄養補給のため、ビールが作られたという説があります。
ビールは、ホップを加えることで飛躍的に品質が向上し発展したのですが、それは聖ヒルデガルトがホップの「苦味が飲み物を風味よく長持ちさせる」と書き残したことからとされています。
時にはビールで栄養補給を(くれぐれも量は控えて!)。