Teoriaは、ギリシア語で「観想、観照」のこと。
 知る喜び 色の楽しみ
 縦糸と横糸が出会い 新たな布が生まれる驚き
京都の小さな文化サロンで、  Teoriaの時間をお楽しみ下さい。

茶の湯のカフェゼミ―初釜

1月29日、旧暦では1月2日の日曜日、
川上千枝先生の茶の湯のカフェゼミ「水の恵みと日本文化」、今回は初釜でした。


まずはステンドグラスの部屋で、今年初のカフェの井戸水をお召し上がりください。

皆さまお揃いになったところで、廊下を通り、お茶室にお入り頂きます。
床は、おめでたくお正月の稲宝来(安井金毘羅宮)。


お花は、
ヒメミズキ、
赤のヤブツバキ
白のモロビト。
小さな酉も添えました。
 
今週はもう節分、ということで、お菓子は鶴屋吉信の「福ハ内」でございマス。

御抹茶は、八女星野園の星峰。
松風の聞こえるひととき、
お茶の香りがたちのぼります。

千枝先生のお濃茶はふんわりつややか。
皆さま思わず笑顔がこぼれます。
茶入れは、高取焼鬼丸雪山作(肩衝ですが肩ひじばらない姿?が気に入っております)。




さて、お濃茶の後は、ステンドグラスの洋間に戻ってゼミの開始です。

ゼミ生さんからは、茶の湯の歳時記と、
お正月にふさわしい「宝尽くし」の話題提供が。
続いて店主からは、まず本日の床飾りの「稲宝来」の解説。古くは古事記、万葉にも登場する「ひかげのかずら」と神事についてご紹介しました。
そして、本年の年回り「丁酉」、時候の「大寒」について、例のごとく、五行説で解読。
その五行つながり、「和の色」のお話としましては、「寒紅」。「赤」と本日の円卓での「ぜんざい」によせて、夏目漱石『京に着ける夕』、そして杉木普斎の「ありあわせの菓子」の逸話もご紹介致しました。



千枝先生の「茶の湯の歴史」のお話は江戸時代に入りました。
川上宗康先生の論文「茶の湯と稽古」を、2回に分けて読み進めます!
(『茶事・茶会 茶道学大系 三』戸田勝久編、淡交社50周年記念出版《全11巻》、1999年)

茶の湯と稽古
一、見様見真似
「数寄者光悦と茶湯者宗旦の茶の湯そして稽古」
〇光悦の茶
我身をかろくもてなし質素に生きる自分流
裕福な商家に生まれた本阿弥光悦は、若い時から名品も所持し贅沢な茶の湯も催していたが、茶事交流を重ね年齢を重ねるほどに、淡々として力みのない、それでいて個性的で洒脱な茶風を持つに至った。
書状「八月九日十日之内…」「明日織部殿…」茶の湯好きとは、目利きで道具好きを含め色々とあるが、その根本は人を招くこと、人と会ってみたいと思うこと。…見様見真似から始まり茶事交流を重ねながら工夫し自ずと自分流ができる。その間を強いていえば「稽古」ということになるであろう。>
〇宗旦の茶
茶家に生まれ、大いなる先人の方法を取り入れながら自分なりの茶の湯を身につける
利休が死を賜った時、宗旦は14才。その後父少庵とともに千家を再興した。従来の茶湯者は武家に仕官する習いだったが、宗旦はどこにも属することはなかった。当時まだ家元制度は確率されておらず、当然流儀意識もなく、宗旦も茶の湯の師匠とはいえ数寄者の傾向が強かったのではないか。交友関係は広く書状も数多く残されている。特に子供たちへの手紙には仕官の口を心配したり愚痴をこぼしたり人間味あふれる人となりが見られる。
『江岑夏書』より「こいちやのふくのこと…」<この時代、茶の湯は一部の社会のものであるが、「稽古」をするということは数寄者、茶の湯者ともに茶事交流を通して「見様見真似」を生かした時代だったのである。>
江戸時代初期の「見様見真似」。実際の茶事の主客を体験しながら茶の湯を身につけていく、云わばon the job training的な稽古は、時が経つにつれ、茶の湯・茶道のあり方の変化に伴ってより現代に近い形へと変わって行く。

茶の湯が制度化様式化してから遥か後の世の現代に生きる私達には、もはや想像もおよばないほど、当時の茶の湯の交流はクリエイティヴだったことでしょう!自由闊達な時代が偲ばれます。
千枝先生、ありがとうございます。


最後は円卓でのカジュアルなディスカッションです。
本日はおぜんざいで薄茶をお楽しみいただきました。
御抹茶は星野園 星の昔
お菓子は、七條甘春堂の初春の「七草」のお煎餅、豆政のクリーム「五色豆」、素朴ながら滋味あふれる「生姜そら豆」。


一部、手織庵さまがFBにUpして下さいました記事から画像お借りします。ありがとうございます。
https://www.facebook.com/kazuhiroy3/posts/1258584870887521
https://www.facebook.com/kazuhiroy3/posts/1258703294209012


川上千枝先生、ご参加下さいました皆さま、
充実した初ゼミを、真にありがとうございました☆


次回は3月26日(日)です!どうぞお楽しみに☆

川上千枝先生の茶の湯のカフェゼミ
「水の恵みと日本文化〜初釜」
3月26日(日)14時〜
5日前までにご予約下さい⇒cafe485@gmail.com
参加費 3000円
服装自由。お持物不要。流儀問わず。
お茶の達人の方も、初体験という方も、大歓迎です。