Teoriaは、ギリシア語で「観想、観照」のこと。
 知る喜び 色の楽しみ
 縦糸と横糸が出会い 新たな布が生まれる驚き
京都の小さな文化サロンで、  Teoriaの時間をお楽しみ下さい。

5月の茶の湯のカフェゼミ

昨日22日、川上千枝先生の茶の湯のカフェゼミ「水の恵みと日本文化」でした。

当カフェの茶の湯ゼミは、カフェ全体をひとつの茶の湯の空間にみたて、
毎回季節の趣向とともに、茶の湯体験を通して日本文化を楽しむゼミです。
カフェの井戸水は、京都三名水の一とうたわれた染井と同じ水脈と言われております。
その湧水を使った当カフェならではの集いを、というところから出発しました。
2011年の開店以来、ほぼ休みなく隔月ごとに開き続け、夏には6年目を迎える人気ゼミです。

茶の湯ゼミのながれ

まずはゼミ室にお入り下さい。お水をおすすめします。
ステンドグラスのもと、大テーブルを囲み、
メンバーがそろえば、カジュアルなゼミの始まりです。
ゼミ生のプレゼンもしくは店主の話題提供の後に、
先生のレクチャーがあり、全員で自由にディスカッションします。

その後、お茶室にお入りいただきます。
日本文化の粋、総合芸術と呼ばれる茶の湯を体験して頂きます。
とはいえ、カフェのお茶です。
服装不問、持ち物不要。
流儀も経験の有無も、一切関係無しの自由な茶の湯です。
畳の茶室ですが、正座に慣れない方はどうぞお足は楽になさって下さいね。

お茶室体験の後、洋間に戻り、足をのばし、
一段とくだけた雰囲気でお干菓子とお茶を召し上がって頂きます。


以上でおよそ2時間から2時間半ほどになります。

店主が昨年から話題提供させて頂いております「和の色シリーズ」。
今回、節気は万物満ち草木枝葉繁る「小満」。時候は初候「蚕起きて桑を食む」の初侯。
五月といえば「緑」ですが、前回「復活祭」の茶の湯で既に「再生の色」としてとりあげておりますで、今回はひとひねり。
立夏の頃から秋まで裂き続けるので「長春花」と呼ばれた庚申薔薇のそうびの色、「長春色」をとりあげました。
さわやかな五月、実際には気温があがりあせばむような陽気にもなりますが、薫る風の侯に咲く花を、「長き春の花」と呼んだ古人の感性を思いつつ、
オールドローズ、グレイッシュな深みのある静かな薔薇の色によせて、和洋中混交、ボーダーレスをねらう?当カフェの茶の湯の特徴についても言及させていただきました。


川上千枝先生のレクチャー「茶の湯の歴史シリーズ」
今回は、「山上宗二」その1!です。


参考文献は当ゼミではすでにおなじみの神津氏の著書。

山上宗二記入門―茶の湯秘伝書と茶人宗二

山上宗二記入門―茶の湯秘伝書と茶人宗二

川上先生から、まずは通説、そして神津説の紹介があり、
謎多き茶人・山上宗二の人物像について解説して頂きました。
非業の最期に至る彼の足跡、政局、人間模様…。宗二の人生と死の状況を明らかにする確たる同時代史料はなく、多くは謎に包まれています。
ゼミ生さんからも、映画<千利休 本覺坊遺文>や<利休>、大河ドラマ真田丸>などに描かれてきた同時代の状況、思い思いの宗二像や豊臣秀吉像などが語られました。(店主的にはやはり漫画<へうげもの>の宗二の印象が大きいです。)


謎多き茶人・宗二の名物記、茶の湯論については次回につづく!デス。



さて、

ゼミの後はお茶室体験です。

本日の床の間、
掛けもの 店主作 長春
花 ヒメサユリ(オトメユリとも)、コアジサイ(藍姫)、白キョウカノコ、シモツケ、トワダアシ
です。

本日の主菓子、俵屋吉冨の木の芽餅。

求肥の薄皮に、中は白味噌餡。「このめ」ではなく「きのめ」で山椒の若芽を意味します。「木の芽はる」と掛詞にも用いられ、季語としてはもちろん春ですが、木の芽餅は五月まで、とのこと。今回「長き春」ということで、名残の春の初々しさをお楽しみいただきました。


桑小卓。五月らしいすっきりとした姿です。


お茶、八女星野園 星峰。
お正客様から「おいしい」とお声があがりました。川上先生の御点前は、とてもまろやかでお茶の甘さを引き出します。
主茶碗 萩
替茶碗 清水焼 竹


快い緊張のお茶室のひとときの後は、一転カジュアルに、円卓を囲み、お干菓子と薄茶の雑談タイムです。

俵屋吉冨 圓成まとまる
俵屋吉冨 糖蜜&リキュールボンボン「こい茶・うす茶」
熊本は杉養蜂園 黒豆グラッセ
そして、黒糖くるみ



和気藹々。


レギュラーさまに加え今回も素敵なニューフェイス様のご参加を得て、
又また充実のひとときとなりました。
ありがとうございました☆


川上千枝先生、ご参加下さいました皆さま、
刺激に満ちた豊かなひとときを真にありがとうございました。



次回茶の湯のカフェゼミは7月の予定です。どうぞお楽しみに☆