Teoriaは、ギリシア語で「観想、観照」のこと。
 知る喜び 色の楽しみ
 縦糸と横糸が出会い 新たな布が生まれる驚き
京都の小さな文化サロンで、  Teoriaの時間をお楽しみ下さい。

宝船


さて、
節分に神社仏閣で
お札やお守りと一緒に並んでいるのが、宝船の絵。
この絵を、立春、あるいは2日めに、
枕の下にしいて寝ると良い初夢が見られるとのこと。
古典落語「かつぎや」では行商の宝船売りが登場します。)


その絵に決まって書かれているうたがこれです。


なかきよの とおのねふりの みなめさめ
なみのりふねの おとのよきかな
(長き夜の 遠の眠りの みな目ざめ
波乗り船の 音の吉きかな)


長い夜の遠い眠りからも
やがて皆目覚めるものだけど
波にのって進む船の音の心地よいことよ


と、私ならこんな感じに訳しますが、解釈は多種多様のようです。
というのも、この歌、とても技巧的で面白い歌で、
「長き夜」に「永き世」、「遠の」に「疾うの」あるいは「十の」、
なみのり」に「みのり(実り)」、「音の」に「お殿」、
など、言葉遊びが随所にちりばめられているばかりか、
上から読んでも下から読んでも同じ回文になっているのです。


なにか不思議な力を感じます。


吉夢をみるために、この歌を三回唱えて休む。
あるいは歌いながら千代紙や和紙に歌をしたため
帆掛け船の折り紙にして枕の下に置いたとも言います。
悪夢の場合は紙(船)を水に流して厄を払ったとか。


さて、
以前から個人的に気になっているのは、
五條天神社、別名「天使の宮」。
こちらでも毎年節分祭で宝船が授与されるのですが、
それが日本最古と言われている絵なのだそうです。
一般に、宝船というと
ずんぐりむっくりの御船に金銀財宝七福神
てんこ盛りになっている様をイメージしますが、
こちらの日本最古の宝船は全く違うのです。


日本最古の宝船というのは、
実にすらりとしたボートのようなシンプルな小舟に
一本の稲穂がすっとのっているだけ。


イマジネーションがかきたてられます。


是非一度節分に訪れてみたい神社です。