Teoriaは、ギリシア語で「観想、観照」のこと。
 知る喜び 色の楽しみ
 縦糸と横糸が出会い 新たな布が生まれる驚き
京都の小さな文化サロンで、  Teoriaの時間をお楽しみ下さい。

茶の湯のカフェゼミ「水の恵みと日本文化」


真夏日となりました7月12日、
川上千枝先生の茶の湯のカフェゼミでした。


猛暑のおりから、今回の茶の湯ゼミは
少々イレギュラーな趣向で
おもてなしの工夫をさせていただきました。


通常ですと、
まずゼミ室でのレクチャーの後、
お茶室体験、
そして円卓でのお干菓子、
なのですが、


今回は最初にお茶室にお入りいただきました。
炎暑の中、
御多忙な中、
遠方より、
それぞれに
お運び下さいました皆さまが、
ひとつ茶室に入ります。

室内、
いつもより暗いことにお気づきでしょうか。
あえて灯は床の間のみとし、茶室全体を暗く致しました。
自ずと目は、床の間へ、そして、明かり障子横の点前座へと集まります。


掛け軸は、モノトーンを基調とした手織タペストリー「天の川」。

お花は、シュウカイドウ、ミズヒキ、トワダアシ、ヤクシマハギ
今、野から摘み取ってきたような籠に入っております。

明かり障子の光をうける水指はクリスタル硝子。

うす暗がりの中だからこそ、耳もいつもより敏感に、
柄杓から注がれる静かな水音をとらえます。
窓、襖、少しずつすかした間から僅かな風が吹きぬけます。
漂う香りは沈香
沈静作用があるとのことです。


主菓子は、俵屋吉冨「岩清水」。

そして、お抹茶は、
八女は星野園の「池の白」。

(※今回お茶室内が暗かったので画像は洋間で撮ったものも交えました。)


お暑さの中であればこその
一服の清涼を
感じて頂けたのではないかと思います。




とはいえ、汗の流れるお暑さ(ー∀ー;
お茶室タイムは常より短めにきりあげて、
冷房のよく効いたゼミ室に移ります。
今回はこのままテーブルでゆっくりして頂きました。

テーブルでは、御抹茶のオンザロックをどうぞ!
当店の井戸水で、各自お好みの濃さに解いて頂きます。
マドラーと氷とグラスの奏でるカラカラという音も「涼」の趣向。


今回の店主からの季節の話題提供は、
「七夕」と「五色」について。
新暦ではもう過ぎましたが、旧暦では立秋後にある本来の七夕。
中国渡来の乞巧奠と日本古来のたなばたつめ信仰との習合。
なぜ短冊が五色なのか、等々。
床の間にご覧いただきました掛けもの
「天の川」の色についてもふれさせていただきました。

そして、
川上千枝先生のレクチャー「茶の湯の歴史」シリーズは、
千利休」の第4回目=最終回!「利休の茶の湯」でした。
〇利休の茶室
*待庵
*当時の標準的茶室、四畳半右勝手と、どう違っていたのか?
 大変分かりやすく図で解説していただきました。
〇利休の茶会
津田宗及「天王寺屋会記」には、利休45才から10年間の茶事の記録がある。
「常」の茶会では、高価では無い新もの、手桶・木製の塗り物の茶器・高麗茶器が使われ、
「運び点前」がされていた。
〇運び点前と侘び茶
利休は「運び点前」を好んだ。
このことは、
稀少な茶道具の蒐集と披露に躍起になっていた他の茶人たちとは
一線を画する。
利休は栄華を極めた後も日常雑器に近い新物を用い、
「茶を点てる」こと、またそれを媒介した「人との交流」を重視した。
ミニマムな道具と設えは、それだけ主の器量が試されるものといえる。
「侘び」の具現。


そして、最後に、
利休真筆の松井康之宛消息のコピーを読み下して頂きました。
天正19年2月14日、利休最期の旅立ち。
細川三斎と古田織部のみが淀の渡りで見送ったという場面が目に浮かびました。


余韻の残る利休のお話でした。


今回は、天の川から始まり、
堺に下る淀の渡の流れ、と、
川でつながるゼミとなりました…。


テーブルでは、オンザロックの後に、
再び温かいお薄もお召し上がりいただきました。
おかわり自由!


お菓子は、
亀屋光洋の水無月(Hさま、ありがとうございました!)
湯島天神・つる瀬のほのか(ほんのり梅の香りの麩の焼き)(先生、ありがとうございます!)
信州の落雁、花逢瀬(Yさま、ありがとうございました♪)
&俵屋吉冨の「貴船の彩」でした。



川上千枝先生、
御参加の皆さま、
本日も楽しいゼミを真にありがとうございました。


次回「茶の湯のカフェゼミ」は、9月の予定です。
お茶人も、
ビギナーさまも、
門外漢さまも、
大歓迎です☆
どうぞ奮ってご予約下さい。